『歌集 滑走路』萩原慎一郎(2017)
今回は友人の勧めで、2020年11月に映画化される予定の詩集(詩集を映画化って、どゆこと?)を読んでみました。
著者は、御三家と言われる有名私立中高一貫校に通っていたのだけれど、いじめにあってしまい、そこから精神的に不安定な日々を送ります。
有名私立大学を卒業するも思ったように働く事ができず、3年前に自死してしまったという・・・重い・・・
頑張ろうって自分や非正規で働く仲間たちを鼓舞する歌もたくさんあったのに、どうして死んでしまったんだろう。
ご両親からのあとがきも、親となった身からすると読んでいて本当に辛い。
私、詩集って初めて。
もちろん昔の人が作った作品は国語の教科書で習ったけど、自分と同世代で、同じ”今”を生きている(生きていた)人の作品って、とても感情移入しやすい。
心にグッと迫る作品がいっぱいでした。
”消しゴムが丸くなるごと苦労してきっと優しくなってゆくのだ”
”葡萄狩しているわれらこの手もて「過程」を知らず「成果」もぎ取る”
”紐引けば花咲くように電灯のともりて学びの時間になりぬ”
”思いつくたびに紙片に書きつける言葉よ羽化の直前であれ”
”平凡を嘆きたる夜に非凡なるひとの書を読む近付きたしと”
くぅぅぅ~!勉強してると思うよね。特に一生懸命やってる時はね。
”遠くからみてもあなたとわかるのはあなたがあなたしかいないから”
”遠くにいるきみと握手をするように言葉と言葉交換したり”
恋の歌。両想いの時よりも片思いの時の方がふわふわしてる。
”ぼくたちはロボットじゃないからときに飽きたり眠くなったりするさ”
”ずたずたとなってしまったミキサーのなかの人参みたいなのです”
”屈辱の雨に打たれてびしょ濡れになったシャツなら脱ぎ捨ててゆけ”
こんな風に思いながら頑張って踏ん張ってる人いっぱいいそう。
萩原さんはそんなみんなのよき理解者だったんだよね。
(すべての出典:歌集 滑走路)
読み進めると誰しも思うと思う。
萩原さんって本当に優しい心を持った人だったんだなって。
萩原さんの目を通して世の中を見る事ができたら、私の人生も変わてくるだろうなって。
巻末の又吉さんの解説。詩集初心者の方は是非ご一読を。
詩集を読む際のよい指南となっています。