私の本棚

出会った本の数だけ自分をアップグレード! 赤羽氏の「ACTION READING」を基にした 読書記録のブログ

『楽園のカンヴァス』原田マハ(2014)

原田作品に登場する人物は、幼少期から絵画に惹きつけられ、のめり込み、離れられなくて仕事にしちゃいました的な、正しく私の憧れる人生を歩んでいる人たちばかり。

自分とは違うんだと思いながらも、その憧れに引っ張られて、物語にもぐいぐい引き込まれる。原田マハさんの本を紹介してくれた友人が「出てくる女性たちが本当に素敵でね。」と言っていたけれど、原田作品3冊目にして、出会ちゃいました!私、本作品の準主役・織絵の生き方、かなり好きみたい。

 

さて、名画名画と巷ではよく耳にするけれど、じゃあ名画って一体何なのか。
古くて、有名な画家が描いたものが名画なの?
だとしたら、名画だと言われているものを、名画だと思って見るしかないの?
私の疑問に、本作品の中で原田さんは答えてくれている。

””名画は時として、人生に思いがけない啓示をもたらしてくれる。
構図や色彩やバランスや技巧の秀逸さばかりではない。
時代性、対象物への深い感情、ひらめき、引きの強さ、言うに言われぬむずむずした感じ。見る者の心を奪う決定的な何かが絵の中にあるか。
「目」と「手」と「心」この3つが揃っているか。
それが名画を名画たらしめる決定的な要素なのだ。””

名画の定義。恐れ入りました。
私も自分の目と手と心でいつか名画を発掘してみたいと思う。

 

最終章で、織絵と亡き父との思い出を回想するシーンにも、私の長年の疑問を解決してくれる文があった。

””こんなにいっぱい絵があったら、どれを見たらいいかわかんないよ?””
””どんな人込みの中でも、自分の大好きな友だちを見つけることはできるだろう?
この絵の中に、君の友だちがいる。そう思って見ればいい。それが君にとっての名作だ。絶対に目を閉じちゃいけないよ、見つけられなくなるからね。さあ、よく見てごらん。君の人生の友はーどこにいるかな?””

美術館に行くと、作品の圧倒的な数の多さにクラクラして、どの作品を見たらいいかわからないくなる。わからないからとりあえず「国宝」とつくものだけは外さずに見ておこう、とこんな具合な方も多かろう。
次に子供と美術館に行った際は、織絵の父の言葉をかけてやりたい。
もしかしたら、子供の人生の友に会うきっかけを作ってあげられるかもしれないから。

 

楽園のカンヴァス (新潮文庫)