私の本棚

出会った本の数だけ自分をアップグレード! 赤羽氏の「ACTION READING」を基にした 読書記録のブログ

『暗幕のゲルニカ』原田マハ (2018)

二つの時代を行ったり来たりしながら展開するアートサスペンス。
どちらの時代の情景もありありと浮かんでくる表現の巧みさで、ハラハラドキドキが止まらなかった。

「芸術は武器」なのか。ピカソ、あなたすごいわ。
芸術は教養であり、成長の糧であり、ひと時の逃避場所。
武器だなんて思った事、一度もなかった。
けれどこの本で、ピカソやドラや瑤子が教えてくれた。
芸術は、言葉よりももっと強力なメッセージを世界中に響き渡らせる事ができるって。
作家・画家が何を表現したくてこの作品を作ったのか。
どうしてこの作品がこの時に出来上がったのか。
世の中に何を伝えたかったのか。
もっと作品の奥深くにあるメッセージを感じ取れる人になりたい。

戦争の時代を生き抜いた人たちは、やっぱり私たちとは違う。うまく言葉で表現できないのがもどかしい。
今私たちは、呑気にのほほんと民主主義の国に暮らしているけれど、ほんの80年前は戦争していた。ほんと忘れがち。

9.11の日、テレビニュースを見ている兄に「何?何の映画見てるの?」と聞いた。あの飛行機の衝突映像は今も忘れられない。
数年後、グラウンドゼロに行った。本当に何もない更地になっていた。ここに数千人の人がいたなんて、信じられなかったな。

 

さてさて、「たゆたえども沈まず」も良かったけど、やはり20世紀~現在のお話は自分と重ねやすい。読んでいて本当に心が震えた。
ラスト、鳩の絵が瑤子の元に届けられた所は泣きました、私。

次は「楽園のカンヴァス」読むぞー!!!

暗幕のゲルニカ